顧問弁護士の必要性と選び方~顧問弁護士とは?
2021/04/01 12:01顧問弁護士とは
顧問弁護士とは、会社から継続的に法律相談を受任することを約し、顧問契約を締結している弁護士のことをいいます。個人との間で顧問契約を締結している場合もあります。
顧問弁護士は、クライアントである会社から多岐にわたる法律相談を受けることで、その会社の事業内容を熟知し、経営者や担当者との信頼関係を築きます。これにより、会社側は、その都度、会社の事業内容や背景などの細かな説明をすることなく、スムーズに法律相談を行うことが可能になります。
典型的な顧問弁護士の業務は、契約書の作成・レビュー、労働問題への対処、事業関連法令のリサーチ・意見書の作成、知的財産権に関する問題解決、顧客とのトラブル・紛争に関するアドバイスの提供などです。顧問弁護士は、クライアントである会社の法的リスクを最小限に抑えることができる存在です。
顧問弁護士の主な役割
顧問弁護士の主な役割には、以下のようなものがあります。
契約書のリーガルチェックや作成支援 |
取引先や顧客との契約書の内容や条項のチェック、契約書の作成や改定、契約交渉のサポートなどに関するアドバイスや対応を行います。 |
事業の適法性のチェック |
会社の事業内容や業務運営に関する法律や規制の遵守、ライセンスや許可の取得、コンプライアンスの確保などに関するアドバイスや対応を行います。 |
人事・労務トラブル対策 |
雇用契約書の作成や改定、労働基準法や労働者派遣法などの遵守、解雇や退職金の問題などに関するアドバイスや対応を行います。 |
債権回収支援 |
支払いの遅延や滞納などによる債権回収の方法や手続き、債権管理の仕組みの構築などに関するアドバイスや対応を行います。 |
外部からのクレームへの対応・法的リスクマネジメント |
消費者や取引先、行政機関などからのクレームや苦情、訴訟や調査などに対する対応や予防策、法的リスクの分析や評価などに関するアドバイスや対応を行います。 |
刑事・民事訴訟対応 |
会社が刑事事件や民事訴訟に関わる場合、原告側・被告側の双方に対して、訴訟戦略の立案や証拠収集、裁判所や相手方との交渉、裁判や和解の代理などに関するアドバイスや対応を行います。 |
知的財産の保護に関する法的サポート |
会社の商品やサービス、ブランドなどの知的財産の保護や活用、特許や商標などの登録や管理、知的財産権の侵害や紛争などに関するアドバイスや対応を行います。 |
内部通報制度の社外窓口 |
会社の不正や不祥事などを内部通報する制度の設置や運用、内部通報者の保護や匿名性の確保、内部通報の受付や調査などに関するアドバイスや対応を行います。 |
顧問弁護士が、以上のような役割を果たすことにより、ビジネスに関連する法律的な問題をスムーズに解決し、リスクを最小限に抑えることができ、経営者はより効率的かつ正確な決定を行うことができます。
顧問弁護士に依頼するメリット
顧問弁護士に依頼することにより、以下のようなメリットがあると考えられます。
法律上の専門知識が得られる | 顧問弁護士は、法律に関する専門知識、特にクライアントの事業に関する専門知識を持っており、クライアントの課題に対する最善のアプローチを提供することができます。 |
紛争を未然に防止することができる |
顧問弁護士は、予防的に問題を回避するための法的アドバイスを提供することができます。例えば、顧問弁護士は、会社の規則や契約書の見直し、労働法や個人情報保護法などの法改正への対応、社内教育やセミナーの開催など、会社の法律的な安全性を高めることができます。顧問弁護士がいない場合、これらの予防策を実施することができず、法律問題に巻き込まれるリスクが高まります。 |
問題が発生した場合に、法的リスクを最小化することができる | 顧問弁護士は、クライアントのビジネスや取引先等に対するリスクを最小限に抑えるための法的アドバイスを提供することができます。また、適切な法的手続きを通じて問題を効率的に解決することができます。法律のプロではない人に解決を委ねた場合、法律的なリスクを見逃したり、不利な契約を結んだり、敗訴したりすることがあります。その結果、会社の損害や信用の低下につながることがあります。 |
法律問題の解決のための時間や費用を節約できる | 顧問弁護士がいない場合、法律問題が発生したときに、解決に時間や費用がかかる可能性があります。顧問弁護士は、会社の事情やニーズに精通しており、迅速かつ効果的に法律問題に対応できます。例えば、顧問弁護士は、契約書の作成やチェック、交渉や和解、訴訟や紛争の対応など、会社の利益を最大限に守ることができます。顧問弁護士がいない場合、法律問題に対応するために、別の弁護士を新たに探すために労力と時間がかかることがあります。 |
問題の解決に役立つネットワーク | 顧問弁護士は、多様な分野の専門家や関連する企業などとのネットワークを持っており、顧客の課題を最適に解決するために役立つことがあります。 |
顧問弁護士の選び方
顧問弁護士を選ぶ場合、以下のようなポイントを考慮することが考えられます。
企業法務に関する実績があるか | 顧問弁護士は、会社の業務内容や業界に関する知識や経験が必要です。顧問弁護士に依頼する前に、過去の顧問先や解決した事件の実績を確認しましょう。 |
コミュニケーションがスムーズに取れるか | 顧問弁護士は、会社の法律問題や不安ごとについて、いつでも相談できるようにすることが大切です。顧問弁護士とのコミュニケーションには、説明のわかりやすさ、レスポンスの速さ、コミュニケーション手段などが考慮ポイントになります。 |
ビジネスに対する考え方や価値観が合うか | 顧問弁護士は、会社のビジネスに対する考え方や価値観に共感できるかどうかを判断する必要があります。顧問弁護士は、会社の経営者や従業員と密接にコミュニケーションを取り、会社の目標や方針に沿った法律サービスを提供することが求められます。顧問弁護士との相性は、契約前に面談や相談を行うことで確かめることができます。 |
自社のニーズに合うか | 顧問弁護士は、会社の規模や業種、将来の展望などに応じて、様々な法律サービスを提供できるかどうかを見極める必要があります。例えば、会社が海外展開を考えている場合、国際法や外国法に詳しい顧問弁護士を選ぶことが望ましいでしょう。また、会社が知的財産を重視している場合、特許や商標などの知的財産権に関する法律サービスを提供できる顧問弁護士を選ぶことが必要でしょう。 |
顧問料とサービス範囲は適切か | 顧問弁護士と契約する際には、顧問料とサービス範囲を明確にすることが重要です。顧問料は、相談や事件処理の有無にかかわらず、毎月一定の金額を支払うことになります。サービス範囲は、相談や事件処理の内容や回数、時間などを定めることになります。顧問料とサービス範囲は、会社のニーズや予算に合わせて調整できるかどうかを確認しましょう。 |
スパークル法律事務所の法律顧問サービス
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本記事は、個別案件について法的助言を目的とするものではありません。
具体的案件については、当該案件の個別の状況に応じて、弁護士にご相談いただきますようお願い申し上げます。
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